「お疲れ様でしたー!!」

「したー!!」

文化祭最終日、遂に待ちに待った午後5時がやってきた。1分刻みで時計を確認して、余りの不真面目な態度にど突かれもした。そんな嫌で嫌で堪らなかった日々も、やっとの事で終わりを告げたのだ。

余裕で売り上げ1位決定だということで、皆テンションが上がりまくっている。朝倉の掛け声に教室中が沸き立ち、その大声に地面が揺れた気がした。大声が疲れた体に響くのに眉を寄せながら、俺はリボンタイを緩める。着替えるのも億劫なほどにだるい。

「指名数1番はダントツで高橋君でした。女子はうっちーね」

特に表彰はありませんけど。

ないのかよと心の中でツッコミを入れて、四方八方から飛んでくる労いやら冷やかしやらに小さく頭を下げるだけの返事を返す。うっちーこと内田 桃香は、女子に囲まれちやほやとされて恥ずかしそうにはにかんでいた。

「お疲れ様。もうそろそろで後夜祭始まっから、お前ら早くグラウンド行けよー」

首からデジカメを提げた山下の言葉に、女子はもちろんの事普段はいい顔をしない男子でさえ、はーいと小気味のいい返事を返した。どうやら相当機嫌が良いらしい。