「……尋常じゃなく旨いな」

満足感に顔が綻ぶのを必死に隠しながら、2個目に楊枝を突き刺す。明日の昼飯はチーズたこ焼きで決定だな。

「楓、お前チーズなら何でも良いわけ?」

呆れた視線が向けられるのを感じたが、俺は構わず神聖たるチーズたこ焼きを口に含む。俺から言わせれば、お前甘いものなら何でも良いわけ?、だ。普段あれほど偏食具合を見せつけているくせに、人の好みを非難がましい目で見ないで欲しい。

「別に、何でも良いわけじゃない。これが特別好みだっただけだ」

へいへい。

宏の馬鹿にしたような表情に少し苛立った。よし、今度は宏お気に入りの食堂限定10個とろけるクリームプリンに、からしを混ぜ込もう。醤油をかけてやった時の怒りを通り越して放心状態になっていた彼を思い出し、我ながら非常に人の悪い本心からの笑みが零れる。人の好みを非難したことを後悔させてやる。

「ちょ、極悪人っ!今とんでもない事考えてただろ!」

「何の事だよ」

俺の雰囲気の変わり具合を感じ取り声を上げる彼に、にこりと微笑んで見せた。