「達哉さんゴチになりました。」



忙しそうに何か準備をする達哉さんに挨拶しにいく。



「おう。もう帰るのか。」


「うん、みんな潰れてるから。」



「またかよ。…またゆっくり来いな。」


「了解。じゃあ…。」



あたしも頭をペコっと下げて店を出た。


ずっとあたしの手首を掴んだまま、足早に歩く悠亮にあたしは上手くついていけなかった。




なんだか、雰囲気的に、怒ったオーラを放っている感じ。




「ちょっと、速いよ。」




「あ…悪い。」



「どうしたの?…加奈1人にしてよかったの?」



「加奈なら大丈夫だよ。アイツは介抱は上手いから。」



そういう事じゃなくて!!!



「俺カッコ悪ぃ…。」



「え?」



「ごめんな。祐哉に酒飲ましといて言うのもなんだけど、アイツ酔うと女グセ悪くなんだよ。」




「そう…なんだ。」



だから、さっき…。
抱き付かれたのか…。



「そうなるかもってわかってたんだけど、すっげー嫌だった。」