「…なんで言ってくれなかったの?」
奈摘はまただまって顔を背けた。
「それは…言えない。」
「なんでよっ?!あたしらなんでも言い合える仲じゃなかったっけ?」
あたしは、カッとなったあまり奈摘の制服の袖に掴みかかる。
それでもあたしとは反対に奈摘はずっと冷静だった。
「陽菜にだって言えない事あるよ。」
その言葉を聞いて、心のどこかで何かがプツンと切れた気がした。
「もう知らない。」
そう言い放って奈摘の前から立ち去った。
奈摘の考えている事がわからない。
『あたしに言えない事』って何。
あたしってそんなに頼りなかったんだ。
さっきとは違い、【言ってくれなかった】奈摘への怒りが
徐々に【頼ってもらえなかった】悲しさに変わっていった。
その日の午後の授業は、ずっと保健室で仮病を使って休ませてもらった。
そしたらいつの間にか寝てて…
気がついたら、放課後…だった。