奈摘を傷つけたくない。


でも圭斗とちゃんと話せないのもツラくて。



頭の中グチャグチャでどうすればいいか分からない。


考えたら辛くなる。
だからあたしは考えないようにした。



無理矢理泣きやんで、教室に戻ったら、廊下の窓から奈摘がグランドを見下ろしてた。



「奈摘!」


どこか悲しげな姿を見せる奈摘にあたしは思い切って声をかける。



「…陽菜」


「ごめんねっ、ご飯中に飛び出して…。」


少しでも明るく振る舞おうと元気な口調で話す。
でもそんな気配りも無駄だった。



奈摘は口を開こうとしない。それどころか、あたしの顔も見ようとしていないようだった。



あたしはめげずに奈摘の隣りにいって、一緒にグランドを見下ろす。



「あたしね~…。」



しばらくの沈黙のあとの一言目は奈摘から。



「圭斗に一回告ってんだ。」





「え・・・・?」



…知らされていない事実。


奈摘は、なんでも話してくれてると思ってたのに。



そんな大事な事を知らされていない。



それがあたしにとってどれだけショックか…



きっと奈摘は気付いてない。