「そんなにムキになって…俺に片桐の事好きになってほしいの?」


「そう…」


それ以上言葉が出なかった。“好きになってほしい”よ。

奈摘には、幸せになってほしいもん。


でも…なんで言葉が出ないんだろう。


あたしこれでいいの?
ほんとにいいんだよね?


心の中の何かが引っ掛かって


あたしは【そうだよ。】たった一言いうことが出来なかった。



何も言えないまま、立ち尽くしていたら圭斗と大きなため息を一つ吐いた。



「陽菜ってハッキリしねーよな。」

「え…。」


圭斗のその言葉にどんな意味があったのか、どんな意図があったのかは分からない。


けど、単純にあたしは傷ついていた。


「マネージャーの事ちゃんと考えとけよ。」



そう言って立ち上がると、教室に戻っていった。




そんな圭斗の大きな背中を見つめていても、まだ言葉が出なかった。







それもそうだよ。
こんな気持ちあたしだって知らないんだから。



胸がモヤモヤする。
なんで圭斗の言葉で
いちいち傷つくの…?




あたし絶対おかしいよ。