本当に深く突っ込んでこなかった教師をみてたら、少し笑えた。



上手い口実をつけて、お腹が痛い振りをしながら教室を後にした。



そして屋上までの道のりをダッシュするわけでもなく、歩いていった。



校舎の上に繋がる階段をゆっくり上がっていく。



一番上までくると、重たいドアを開けて、外の冷たい風を浴びた。



と同時に、目の前に水色の空が開けた。



白い雲や、雨を連れてきそうな灰色い雲が浮かんだ大空の下に、圭斗はいた。



屋上の出入り口に背を向け、後ろに両手をついて座っている。



あたしが、入って来た事にまだ気が付いていないみたいだった。