電車の中でも握った手は離さないで常に握ったまま、



電車の揺れと暖房の聞いた車内が心地よくてついついウトウトしてしまう。



「俺の肩使っていいよ。」


眠りかけのあたしは悠亮に甘えて肩を借りる事にした。



ガタガタ揺られて…数十分。




「…菜…陽菜っ、」



目覚めたばかりで頭は冴えず、ずっと呼ばれていた事にも気付かなかった。



「あ…ゴメン…寝てたんだ。」



「うん、爆睡だった。」



赤くなるあたしをみて、悠亮はクスクスと笑った。



「ほら、行くよ。」



駅を出て行くと…
見知らぬ景色が広がっていた。