本当は、
かわいらしく、
女らしく、
シクシクと、
泣けば良いだけなのかもしれない。
自分は惨めな奴だと、
受け入れて、
諦めて、
マーキングする犬のように、残り香を残すように、
彼女という立場から、
とっとと消えてしまえば良かったのかもしれない。
でも。
私には…
できなかった。
ガオガオと吠え、
恐れるものから目を離せず、
ひたすら後退りしながら、
遠ざかる。
目の前のモノから、
離れられないのに、
離れられない状況を、自分で作り上げているのに、
逃げる…
これを、
人間社会で言うと、
“現実逃避”
することしか、できなかったんだ――――