俺は理想の結婚を求めてる。
と言ってもごく普通のことだ。
俺の後を3歩下がって歩けとか、
常に気の利いた女になれとか、
そんなことは言わない。
ただ亭主関白の俺を
少しだけ立ててくれて、
いつもそばで笑ってくれて、
二人仲良く過ごせればそれでいい。
細かいことを言い出すとキリがないし、
そんなにできるもんでもない。
ただ、結婚は一生ものだ。
じっくり考えて答えを出さないと。
きっといろんな考えの人がいるだろう。
何が基準かは人それぞれ。
僕の考えはこうだ!!
愛っていつまでも続くものじゃない、
だからパートナーを探すんだと。
そりゃ好きな気持ちがいつまでも続く
それに越したことはないが、
それは難しいだろう・・・
お互い価値観が合って、
一緒にいて無理がない。
愛はいつか、支えあうという
愛に変わるような、そんな関係がいい。
俺の理想の夫婦がすぐ近くにいる。
会社の先輩、萩原一樹。
ここの夫婦こそが俺の理想とする夫婦だ。
奥さんは智香。
この人もまた会社の先輩で
美人でよく気の利く人だった。
結婚と同時に会社を辞めて
今は専業主婦。
かなりの人気があった。
俺も密かに憧れていたのに・・・
こんな人が毎日家で
待っててくれたら・・・
幸せだろうなぁ~
「おい、郁人!! おい!!」
「えっ!?」
「何をボッーとしてんだ!!」
萩原先輩が俺を呼んでいた。
いけね!!(汗) 妄想してた!!
「すいません!!」
「まったくお前は・・・まぁ、いいや。
今日な、少し遅くなりそうだから
先に家に行っててくれ。」
「そうなんすか?」
「ああ、ちょっとトラブルが起きてな、
なるべく早く帰るから。
智香には言ってあるから、
先に飯食っててもいいぞ。」
「わかりました。」
そう言って、慌てて会社を出て行った。
時々、こんな風に萩原先輩は、
俺を家に呼んでくれて、
一緒にご飯を食べるんだ。
俺のことを一番にかわいがってくれる。
「先輩遅くなるって、
何時になるんだろう・・・
それまで、智香さんと二人きり・・・
俺・・・ どーしよう・・・」
俺の頭の中はよからぬ妄想で
いっぱいになっていた・・・
「ダメだ!! 俺はいったい
何を考えているんだ!!」
俺は一人ツッコミを入れて、
周りからみたら、かなりヤバイ奴に
なっていたに違いない・・・(汗)
ピンポーン♪
「はーい。」
そう言って智香さんが玄関を開けた。
「こんばんは。」
「郁人くん、いらっしゃい。
さぁ、どうぞ!!」
「お邪魔します。」
智香さんは俺をリビングに通してくれた。
「ちょっと、座って待っててね。」
「はい。」
おお~、智香さん。
いいにおいがするぅ~・・・