「ナミ、ナミどうしたんだよ!?ねぇ、なんで…っ、ナミ!!」


俺の大声で近くにいた人たちがナミの異変に気づいた。


テンパる俺は必死にナミの名前を呼ぶことしか出来なくて、気の利いたおばさんが救急車を呼んでくれた。


それからどうやって病院についたか覚えてない。


ただ、もう頭ン中はぐちゃぐちゃで。


だけど、


―――――ナミさんは長くは、もう…。


―――――もって二ヶ月です。


医師の言葉でぐちゃぐちゃだった頭ン中は、真っ黒になった。


病気が進行してて、もう手術しても助からないけど、延命治療は出来るって。


なのに……


「延命治療は受けない。」


きっぱりと言い切るナミ。


「なんで……」


「どうせ死ぬんだ。治療なんて受けて副作用で苦しむくらいなら、何もしないで死にたい。」


ナミが何の迷いもなく言うもんだから、俺はだんだんと俯いていく。


「だからって………」


「これが、私の運命なんだよ。」


運命、なんてらしくないこと言ってんじゃねぇよ……。


珍しい言葉に少し驚きながら顔を上げれば、


「…………っ、」


ビックリするぐらい穏やかな表情をしたナミがいて。


俺は何も言えなかった。


……嫌だ、ナミ死なないで。


言いたいけど言えなくて。


思わず涙が零れそうになったから、下を向いて堪えていると腕を引っ張られた。