「ただいまー」


白い団地の上の階。


奥から三番目がナミの家であり俺の家。


鍵を開けて玄関でちゃんとスニーカーを揃えてから中に入る。


ここに来た頃は毎日ナミに靴は揃えろって怒られてたけど、今じゃ習慣付いてナミが居なくても自然と靴を揃えてる。


テーブルの上にコンビニで買ってきたものを並べる。


今日の晩飯はコンビニ弁当。


訂正。正しくは今日の晩飯も、だ。


「まず……」


久しぶりにナミの手料理が食べたい。



―――四カ月前。


晩飯を食べ終えて俺は食後のデザートを食べながら、ナミは大好きな酒を呑みながらテレビを見ていた。


「………」


「ナミ…?」


不意に喋らなくなったナミは急に立ち上がってリビングを出て行った。


不思議に思いながらも、すぐ戻ってくると思ってた。


だけど、なかなか戻って来ないから俺はリビングを出てナミを探した。


狭い家だからナミは簡単に見つかって、ザァザァと水の音が聞こえたから洗面所へ。


うっすらと漂っている鉄の臭い。


排水溝へと吸い込まれていく赤。


「………ッ、ナミ!!!」


「ん、ああ……。」


どうしたって言いながら口元を拭うナミ。