俺が学校帰りに毎日行くのは、友達とゲーセンや彼女とデートじゃない。

俺が向かう先は…………。


「ナーミっ」


白い部屋に白いカーテン、白いベット。

そしてそこに居るのは黒の似合う女の人。


「また来たのかよ、クオ」


呆れた表情を浮かべながらも、口角を上げる彼女の名前はナミ。

そして俺の名前がクオ。


「別にいいだろ?暇なんだから」


「さっさと彼女の一人や二人でも作って、どっか行ってきな。」


「悪かったな、中二にもなって付き合ったことなくて。」


皮肉を返しながらコンビニで買ってきた袋をベットの上におく。


「何か飲み物買ってきてくれた?」


「ん、水。」


俺からペットボトルを受け取ったナミは真っ赤な唇を飲み口に付ける。


「酒飲みたい……。」


「だめ」


「煙草吸いたい…。」


「だーめ」


酒も煙草も病気が治れば好きなだけどーぞ。


そういえばナミは驚いた顔をしてから、悲しい笑顔でそうだなって言った。


病気が治れば、なんて俺もずいぶんと酷いことを言ったもんだ。


ナミの病気はもう治ることはなくて……。


ナミの命はあと少しで終わってしまうのに。