間違えられるだけならまだマシだけど、それを理由に色んな嫌がらせを受けるのが嫌だ。
睦野たちのことだってそうだ。
こんな顔じゃなかったら、あんな目には遭わなかったかもしれない。
その後も憎まれ口を叩きながらも、ルキは丁寧に顔や手足に絆創膏や湿布を入って手当てしてくれた。
「他にはもう無いか?」
「…うん、」
服の下にも殴られた傷があったけど、別に見られたくないものがあったから大丈夫と言った。
ルキは荒っぽい口調とは対照的に手先は器用で素直に驚いた。
こないだ病室であんな冷たいこと言ってたのに、たまに肌に触れたルキの体温が温かくてどっちが本当のルキなのかもう分からない。
「なあ、何であんなところ居たの…?」
ずっと気になっていたことを、ソファーの反対の端に座っているルキに尋ねる。
「ナミに頼まれたんだよ。お前の様子見てきてくれって……。んで、家行く途中にたまたまお前を見つけた。」
「……………。」
確かに三日は病室に顔出してないけど……。
「……でも、その顔じゃしばらく見舞いにゃ行けねーな。」
ルキが酷く腫れた俺の顔を見る。
「別に……。」
ナミは俺が苛められてるの知ってるし、痣だらけで何度も帰ってきてるからまたか、ってなるくらいだと思う。