『彼らには悪いが、今は深皇を倒すのが先だ。
………行くぞ』

ウノサスとなっている今、彼の悲痛な心情は自分のことのように感じられる。

(すまない…)


「行こう!
蜂姫、透徹!」

俺は紺碧の煌めきを放つ身体を駆り…

『ところでエルダ。
どこに向かうつもりだ?』

「あ…」

そう言えば、俺はアグザスの居城らしいものの所在を知らない。

と言うより、記憶から消えてしまっている。

絶対服従の呪縛が解けた影響が、この土壇場で裏目に出るとは…


どうしようかと考えていると、蜂姫が質問してきた。

「ねぇ、エルダ。
こないだから一つ気になってたコトなんだけど…
深皇ってどんな姿をしてるの?
全然話に出てこないわよね?」


アグザスの容姿か…

「俺も段々記憶が曖昧になってきてるからな。
辛うじて覚えてるのは…
巨大な影、ぐらいか」

「巨大とは、どれほどだ?」

今度は透徹の質問。

「かなり…
それこそ、このリュエーの………!!」

そこまで言って気付いた。

「このリュエーに匹敵するほどの大きさ…
そんな巨大な姿なら、リュエーに降り立って走り回ってる間に既に見つけてるはずだ!
つまり…」