菊池先生と話終えた篠崎先生が俺の目線に合せてかがんで、俺の目を見てゆっくり話始めた。



「今日茅流と青野の親御さんがここへ来る途中、青野のお母さんが倒れて…
病院に運ばれたらしい。
茅流のお母さんも一緒に病院に行ったそうなんだけど。
茅流、真瑠ちゃんと2人でお前の家に帰って、大人が帰ってくるの待ってられるか?」


………。



一瞬光景が蘇る。



前にも一度、明美さんは倒れた。


家に真瑠と明美さんが遊びに来ていて、夏の暑い日。


俺が1年の時。


明美さんが俺達の目の前で、突然倒れたんだ。


突然の事で、ただびっくりして立ち尽くしているしか俺は出来なくて、横で泣きじゃくってる真瑠の事にも暫く気付かなかった。


その時は2日間意識が無かった明美さん。


意識が戻るまで、真瑠は一度も笑わなくて喋りかけても上の空だった。


そりゃそうだよな。


母親が目の前で倒れて、ベットの上に横たわったまま


話しかけても、ピクリともしないんだから…。