「お客様、お待ち合わせはあちらの方で宜しいですか?」
呆気に取られていた店員さんも、そう言ってようやく私を茅流さんの居る席に案内してくれた。
茅流さんは、さりげなく私に椅子を引いてくれて座らせてくれて。
自分も席に着くと、ふぅと一息ついて申し訳無さそうに言った。
「お疲れ様。
来て早々申し訳ないね。」
申し訳ないのは私の方。
空気も読まず、のこのこと…。
しかも勝手に2人だと思い込んでた挙句、こんな格好してどんだけお間抜け。
もぅ恥ずかしくて、茅流さんの顔を見る事もままならない。
席に着いたきり顔を伏せたままの私に、茅流さんがまた声をかける。
「えっと…。
岸田さんでいぃんでしたっけ?
今の女性…。」
「はぃ?」
拍子抜けする様な質問で、思わず声を裏返して聞き返しちゃったわ。