「いらっしゃいませ。
お待ち合わせでしょうか?」
優しい笑顔の初老の店員さんが入口に立ったままの私に気付いて、声をかけてくれた。
「えっとぉ…。」
"お待ち合わせ"になんか恥ずかしくなって、答えに困っていると…
「何で私じゃいけないのよ!何でなの?
あの子は来ないって言ってるじゃない!
…なんか、もぅサイテーだわ!
帰る!!」
奥から、女の人の大きな声がした。
私と店員さんは一瞬顔を合せて、声のする方を見た。
えー!?
岸田さん!!??
何で?
何で彼女がココに居るの?
ポカンとしている茅流さんが座って居るテーブル席の方から、ズカズカ歩いて来るのは間違いなく、同僚の岸田さんだった。