「やっぱり…似合われると思ったんです!」
試着室から出た私を見たおねーさんが、嬉しそうに言った。
きっとホントにそう思って、勧めてくれたんだなって思った。
1万9千円…。
ちょっと高いけど、
たまには良いかな?
自分への、クリスマスとバースデイのプレゼント。
「じゃあ…コレ下さい。
着て行っても良いですか…?」
「もちろん大丈夫ですよ!」
おねーさんは笑顔で答えて、タグを外してくれた。
会計を済ませて、通りを歩く。
パウダールームに寄って、お化粧を直す…と言うよりし直す。
鏡に映る自分の顔に、心の中で言い聞かせる。
「いぃ?
真瑠。
今日だけ今日だけよ?
こんなワンピもお化粧も今日だけ!
ハメを外したり、うっかりしたら自分がイタイ目をみるのよ。
今日は茅流さんが、来るまで待ってるとか言って、行ってしまったから…。
今日イヤな思いをさせてしまったし、申し訳無いから来ただけよ。
身分をわきまえなさね…。」