『…ん?』


「うんんっ☆」



ハルくんを見てたら、何?って顔でのぞき込まれてちょっと焦った。

慌てて首を横に大きく振る。


「何、どぅしたぁ?
熱いから気をつけろよ。」



お父さんがお蕎麦の入った器をテーブルに置きながら言う。



「何でも無いよっ!
お箸持って来るね。」



私は赤くなりかけた顔を見られない様に、キッチンにお箸を取りに行った。



ふとお鍋の横を見ると、小さな器に入ったお蕎麦。



「母さんの分だよ。」



後ろを振返ると、お父さんが笑顔で立っていた。


小さな器を持ってママの仏壇に供える。




お父さんは仏壇の前に座って、ママの写真にほほ笑みかけて話かける。



「一年間ありがとう。
来年もどうぞ見守ってな。」


チーン…



ママに手を合せてから、リビングにお父さんは戻って来て


「ハルくんも後で良かったら線香あげてやって。」


「はい。」



「ありがとう。
きっと喜ぶよ。
じゃあ、食おうか?
頂きます。」


「「頂きます。」」