「俺…本当にあの時何も出来なくてゴメンな。」
「ううん…。」
暫くして伊原君が突然謝った。
私も慌てて答える。
「毎日後悔したよ。
あきらめずに、近くに居れば良かったって。
でも、迷惑かなとも思って、メールさえ出来なくなって…。
本当にごめん。」
前を見たまま、謝る伊原君。
伊原君がメールをくれなくなったのは私のせい。
私がメールも何も返せなかったからだよ
伊原君は何も悪く無いのに。
「私の方がごめんだよ…。
心配して貰って沢山電話もメールも貰ったのに…。
本当は嬉しかった。
でも、あの時は色々あってちょっと余裕も無くて…。」
私が言うと伊原君がポンと頭を撫でて言った。
「何も出来なかった事には、変わりないよ。
俺が頼りないばっかりに…。でも、もしまた辛い事があった時は…今度は言って?
話聞く位は、いつでも出来るから…。
このまま会えなくなるのは嫌だしさ。
俺の初恋の人だからね。」
そう言って伊原君は照れ笑い。
"俺の初恋の人"
私も照れて、何も言い返せないけど。