完全に体が硬直して動かない。


声も出ない。



だんだん近付いて来る男子。


やっとで後ずさりをしたけど、壁にぶつかって逃げ道を失った。



どうしよう…。


コワイよ…。


誰よ…この人。


でも、どっかで見た事がある様な…?


私の思考回路を張り巡らせるけど、うまく回らなくて思い出せない。



突然身に降り懸かった出来事に、頭の中は真っ白。



男子の両手が、私の顔を挟んで壁につく。


私の目の前に男子の顔。


息がかかる位近い。


瞬きも出来ない程、息をする事を忘れるくらい、本当に体が動かせなかった。


そんな私をみて、男子がゆっくりと冷ややかな声で喋りはじめた。



「あんたには全く興味無いんだけど、あんたの事どうも気に入らない人がいるらしくてね…。
調子に乗ってるあんたを、懲らしめなくちゃならないんだ。
悪いねぇ。」



とっさにイヤな予感を感じて、腕の間から抜け出そうとした。


けど


ダメだった。