清人と一緒やったら何でも来いやと思ってた。


俺らふたりは無敵やったし、背中預け合ってるから、自然と不安なんかなかったんや。


でも、理乃は違うねん。


俺が全てやねん。


やから俺、理乃のこと助けたらなあかんねん。


わからんけど、“お兄ちゃん”ってそういうもんやと思ってた。





どんな金でも稼がなあかんかってん。



一円でも多く、

誰を騙したとしても、

俺がどんな人間になったとしても。



それでも理乃だけは、
ちゃんと育ってほしかってん。



理乃には何も言わなかった。


けど結局、俺もそんな理由で嶋さんに噛みつくことはなくなったんや。


全部理乃のためやった。