清人ってたまに、許容量オーバーになることがある。


そんな時は決まって俺はアイツの深酒に付き合ってやって、愚痴りもせん清人と一緒におってやるねん。


その日も、それは同じやった。


雨音が耳触りで、清人の悲しそうな瞳は揺れ、言葉なんて交わさなかった、そんな時。


電話は突然に、しかもけたたましいほどの音を鳴らしてたわ。


誰もが寝てるような時間で、俺らは顔を見合せて、そして清人は携帯を持ち上げた。



「…死んだ?」


俺が聞き取れたのは、たった三文字。


清人の手から携帯が滑り落ちて、カシャッ、ってフローリングに落ちて。



「キヨ、何?」


「…花穂がっ…」


花穂が、死んだって。





嘘やろ?


嘘やん。
嘘やん。
嘘やん。





「…嘘、やんなぁ…?」







花穂ちゃん、死んだんや。


うち飛び出してすぐ、トラックに轢かれて即死やったって。


冷たい雨に打たれながら、死んだんやって。