「花穂ちゃん頑張ってるやん。」


「でしょ?
こうでもして押し掛けなきゃ、キヨちゃんあたしのこと忘れちゃいそうじゃない?」


だけども屈託なく、彼女は笑う。


健気やなぁ、と思いながらも俺は、やっぱりいつも、不憫に思ってしまうんやけど。



「キヨちゃんの頭の中はいつも、弟妹とバイクしかないから。」


「…俺は?」


「3%くらい?」


「何でやねん。」


そんな感じやった。


俺もな、ちょっとは協力しててんで?


花穂ちゃんが来るってなったら、わざと帰り遅くしてみたり。


けど、やっぱ清人はアホなんか意識的になんか、花穂ちゃんにだけは手を出したりはせんかった。


若いんやからバシッと勢いでそういうことになれば良かったはずやのに。


ある意味清人にとって、花穂ちゃんは一番大切にしてた存在やったんかもしれんけど。


でも、やからこそ、俺らはそんなバランスでおれたんかもしれん。


清人はごっつ俺に気使う男やしなぁ。


アイツの考えとることはいっつもわからんけど、ちょっと寂しく感じてたんやで。


花穂ちゃんかて、寂しかったと思うわ。


他のヤツから密かに花穂ちゃんに彼氏おるらしいって聞いたけど、でも、責めることは出来ないと思った。


清人は朝帰りなんか普通やったし、どこで何してるんかは知らんけど、それぞれが自分と、そして3人での調和の中でもがいてたんやろう。


近付いて、寄り添いすぎたら大人になれんへん、って。