「お前さぁ、あれ以来全然家帰ってないんだろ?」


「…やから、何?」


「俺さ、たまに理乃と会ってるよ。」


もちろん心配だから様子見るためだけど。


そう付け加え、清人は体を起こして煙を吐き出した。


まぁ、コイツが理乃に手を出すはずはないから変な心配はいらんけど、やっぱり思考を読まれているようで居心地が悪い。



「それで?」


「アイツ、泣いてるよ。」


そんなん、言われんでもわかってるわ。


捨てられるという恐怖、ひとりぼっちの孤独こそが、アイツが一番苦手なものやから。



「キヨくんのこと好きになってれば良かった、って。」


「へぇ、惚れられたん?」


何でだよ、と清人は眉を寄せた。



「それってつまり、裏を返せばまだお前のこと忘れられない、ってことだろ?
それでもさ、理乃はお前に帰ってきてほしいんだよ、多分。」


「…そんなん、都合良く考えすぎやろ。」


そう、言い聞かせたかったのかもしれない。


期待したらあかん、会ったらまた理乃を傷つけることしか出来んのやから、って。


このままじゃあかんのはわかってるけど、でもどうすることも出来へん。


進む方向がわからへんねん。



「羨ましいよ、お前らが。」