強烈な痛みの中で意識を手繰り寄せた時、すっかり窓枠からの陽射しに照らされていた。


視線だけを動かすと、彼と目が合い俺らは笑った。



「どうやら天国ではなさそうやなぁ?」


「地獄でもねぇけどな。」


清人の顔は痛々しかった。


多分、俺はもっとすごい顔してるんやろうけど。



「こんなに殴られたら脳みそ馬鹿になるやんけ。」


「俺もだよ。
ジャニーズ入るつもりだったのに。」


やっぱり真顔ですっとぼけたこと言う清人が可笑しくて笑うと、腹筋が引き攣ってイーッとなる。


俺らは辛うじてまだ生きている。


いや多分、また嶋さんによって生かされてしもうたんやろうけど。



「俺はお前やなくても、人なんか殺せへんよ。」


「普通だよ、それが。」


「そうやなぁ、普通やよなぁ、それが。」


ポケットから取り出した煙草は、くしゃくしゃやった。


これやからソフトパックは嫌やねん、と思っていると、清人が自分のそれを一本差し出してくれた。


あの人は、父親のようで、でも全然違うんやろう。


捨てた記憶を辿ってみても、親父がどんな風やったか思い出せなくて、比べることが出来なかった。



「また生かされて、また同じ毎日を繰り返させられるんだな、俺らは。」


清人の呟きが悲しかった。


生きてることで丸儲け、なんて人は言うけど、それって幸せやからそう思うねん。


世の中、死んだ方がマシな俺らみたいなん、たくさんおるんやろう。