つまりは俺は、蚊帳の外、ってことかい。


唇を噛み締めると、俺の瞳の前数センチで、嶋さんの煙草がこちらに向けられる。


思わず喉をひくつかせると、はっと笑われた。



「どうした?
随分ビビるようになったなぁ。」


今度はおもちゃ扱いや。


殺してやりたくて、でも出来ないことは分かってて、俺は唇を噛み締めた。



「動物の世界ではな、子が親を殺すことなんて出来ねぇんだよ。
ギンだって本能でそれわかってんだろう?」


俺らのこと虫けら以下にしか考えてないくせに、何が動物やねん。



「いつかアンタの寝首かいたるわ。」


「寝首しか取れねぇ、って言ってるみたいに聞こえるぞ?
言葉選んで喋れよなぁ?」




絶対許さん。
絶対許さん。


絶対許さへんぞ。




何で俺らが苦しまなあかんねん。


何で俺らばっかりこんなんやねん。


立ち去る嶋さんの背中を睨みつけながら、それでも拳を握り締めることしか出来なかった。