本心を隠しただらけな中で生活するのは、もう疲れ果てた。


嘘や欺瞞ばかりが日常で、日々腹の底の探り合いやねんから。



「ギン!
どうだ、飯でも連れてってやるよ。」


俺は顔を向け、睨みつけるような目で見てしまう。


ムスクの香りを放ちながら、肉体を隠すようなスーツで覆われた鋭い眼光が眉を寄せる。


この人もまた、まるであの日の出来事がなかったかのように、いつも通り。


俺の腕には未だ、消えることのない丸い刻印が残されたままやってのに。



「アンタと飯なんか食いたくないわ。」


「何殺気立ってんだよ。」


俺は唇を噛み締めた。



「アンタ、清人に何言うたん?!
アイツは何に必死になってんねん!」


声を荒げるが、スカした顔が変わることはない。


嶋さんは、事もなさげに煙草の煙を吐き出し、それにため息を混じらせた。



「ゲームだよ、ゲーム。
子供とゲームしてやんのは親の務めだろう?」


「…ゲーム、やと?」


だけども彼は、ふっと笑うだけ。


何が“ゲーム”やねん、どのツラ下げて俺らの“親”やねん、って。



「まぁ、せいぜいてめぇはそうやってイキがってろよ。」