苛立ちの中で乱暴に女を抱く。


バックで、口を塞いで、ぎしぎしと規則的に軋むベッドのスプリングの音を聞きながらも、雨音ばかりが耳に入る。


うな垂れるようにこうべを落とすと、女の背に俺の金髪が零れる。


気持ちの悪い行為やった。



「そんなに雨が気になる?」


動きを止め、窓の外を無意識のうちに見つめていた俺に、彼女は問うてきた。



「今週はずっと雨の予報なんだって。」


視線を女へと滑らせると、びくりとその肩が上がる。


黙れや、と吐き捨て、再び濡れた唇を塞いだ。


清人も理乃もレナちゃんも、一体何を考えてるねん。


嶋さんや国光さんに恐怖して、女の機嫌取って、俺は一体何をやってるんやろう、って。


雨の日は、決まって憂鬱さを拭えなくて、何をやっても苛立ちばかりが増してしまう。


今年の梅雨は長かった。


時折スコールのような雨が降ることさえあり、まるでオカンが死んだあの日みたいや。


理乃の顔がうまく思い出せなくなって、虚しさに飲み込まれそうになる。


愛してる、愛してる、と耳障りな言葉。


それでももう誰も、俺の本当の名前を呼ぶ人間はいなかった。