「し……新谷君は文学部だっけ? そうだ、結局どこかのサークルには入ったの?」

「いいや。バイト始めたらそっちの方が面白くなっちゃってさ」

 よし間違ってない! よくやった私の記憶力!
何とか愛想笑いも形になった(はず)。もしかしたら少し引きつっていたかもしれないが。

そんな私の心中を察して……いられたら少し困るけど、至近距離で改めて見る新谷君は、どこぞのメジャーな雑誌で読者モデルでもやってるんじゃないかと思うほど、整っていた。色々と。

 多分、私が普通の女子大生の感性のみで構成されていたのだとすれば、このまま彼とお近づきになるために話を盛り上げようと努力した、かもしれない。

ただ、今の私を構成するのは……残念ながら、三次元よりも二次元だったのだ。

「新谷君もバイトしてるんだ。どこで?」

「大学近くのファミレス、分かる?」

「あぁうん知ってる。バイトの制服がPiaキャロみたいなところでしょ?」

「ぴあ……?」

 はっ!? ついうっかり本音が出てしまった!?
 ちなみに「Piaキャロ」とは、制服の可愛いファミリーレストランを舞台にこれまた可愛い女の子達と親交を深めていく男性向けのゲーム。最近その女の子の数が多くてCGとフラグの回収が大変なんだけど……それはさておき。
怪訝そうな表情でコチラを見つめる彼に、

「あ、えっと……私の実家の近くに、そういう名前で制服の可愛いファミレスがあったの」

 もしかしたらチェーン店かもねー……などとゲームの話を参考に何とか乗り切った、つもり。彼もそれ以上突っ込まなかったからいいことにしよう!

 と、講義開始を告げるチャイムが響く。時間ぴったりに入ってきた教授を合図に、私たちはそれぞれ体を前方に向けたのだった。

 そして。