やっとのことで声が出た。

「うん…同い年だよね?」


「中3だけど…あの学校ってエスカレーター式なんだよね。高校まで」


「う…うん…」


真夏の夜は風がなく、静かだった…


会話は途切れ、虫の鳴き声が二倍にも三倍にも感じられた。


彼はどこか遠くを見ていた。手を伸ばせばとどく位置なのに、なぜか遠かった…


私はこの状態が辛くて、口を開けた。


「学校はね、ここから徒歩で行けるんだよね。広いし、みんないい人」


私は話し終わると彼の顔を見た。


「そっか。楽しみにしてるよ」


彼はそっと笑った。


「じゃあな。蒼井香澄」


そう言うと彼は立ち上がりカーテンを閉めた。


「名前…私の名前…」


私は緊張から解き放されたと思ったら力が抜けた…


私はなぜかドキドキしていた…



『香澄〜ご飯出来たよ。降りてきなさい〜』



「わかった〜」


今日は8月31日


彼と同じクラスになれるか分からなかったけど、きっとなれると確信していた…