私はずっとこの気持ちのままでいいと思っていた。

松原君が沙織さんを思っていても…


私は見つめるだけでよかった。


でも、私の気持ちを無視するように周りは動き出していく。



失敗してもいいと…

傷ついてもいいと…



なのに私は動かないままだった。



このままでいいの?


このままでいいなんて思いながらも幸せを待っていた。


動かないくせに幸せを待っていた…



自分が嫌になった…



こんな私でも、まだ変わるチャンスはある?



変われるチャンスがあるのなら、お願い…神様…



私の大好きな人を幸せにしてあげて下さい…


そう願いながら、私はさよならの扉を開けようと決意した。




山本君に頼み込んで私は沙織が入院している病院を教えてもらった。


沙織さんは事故に遭い、左手の指が少し動かず、リハビリのため休日は病院に行ってるという。


私は沙織さんに会う…


少し怖いけど…



このままではダメだから。




私はこのことを香奈と山本君、森田君だけに告げて病院へと向かった。



山本君が一緒に行くと強く言った。


「でも…私、一人で行きたいの…」


「じゃあ、部屋には入らないから…」



それならと、一緒に行くことにした。






バスに乗り、私たちは沙織さんのもとへと向かった。


どんどん知らない町並みが広がっていき、少し不安になってしまった。


でも、隣には山本君がいて少し安心できた。


でも、山本君の顔は緊張しているように見えた。



私は視線を窓に移すと静かに目を閉じた…



これからの為に…