「蒼井と花火したんだ〜って」


鼻のおくがツーンとしてきた。
涙が出そう…



窓から見える木が、サワサワとゆっくり揺れていた。


葉っぱがユラユラと落ちていた。


風が私の頬を撫でた。



「オレ、思うんだ、時々」


森田君が懐かしそうな顔をしていた。


何を考えているんだろう…


「英人がクラスの女子の中で、呼び捨てにするのは蒼井さんだけなんだ…」


そうなの?知らなかった。


「あいつは蒼井さんの話をするとき、いつもキラキラしてるんだ」


そうなの?



「あいつはさ…もしかしたら…」



風が一瞬止まった。


「蒼井さんのことが好き…なのかもな」




世界が一瞬にしてぼやけた…


目に涙が溜まっていた。


「…もう…私…泣いてばっかり」



森田君が私の頭をおもいっきり撫でた。



「オレの想像だから、本気にすんなよ。じゃあな」


そう言うと教室を出て行った。



嬉しくて…嬉しくて…



うそでも、私の心の支えになってくれたんだ…



でも、この気持ちは長くは続かなかった。



私の気持ちはこんなに溢れていて、どこかで私と松原君は繋がっているんじゃないのかな。なんて、思ってた。



でも…


でも心の底では、少し…いや、だいぶ思ってたんだ。



離れていることは…