「その人に告白したんだ…」






「そして付き合いだしたんだ。すごく好きだったから大切にしたかった。中1っていうと、まだ子供なのに、そんなこと考えてた…」



今でも…私たちは子供だよ?



「すごく大切にした…本当に大好きだったから…」



松原君だけ…子供じゃないの?私が子供なだけなの?



「ずっと側にいたかった…」



聞きたくない…



「でも…オレは守れなかった…」



後ろ姿の松原君の背中が震えている気がした。


それが伝染するように、私の手が震えてきた…



「ま…守れなかったって?」



なぜか私の目から涙が溢れてきた。



「彼女は…オレと待ち合わせしてたときに…遅刻しそうになって赤信号になりかけたのに…」



……



「それが中3のとき…」


最近だ…



「オレは大勢の人の声と、救急車の音で現場に行ったんだ…嫌な予感がした…」



「……うん………」



「そしたら彼女が…倒れてた…傷は全然無くて…寝てるみたいだった…」



「でも…まだ身体が温かかった。だから力いっぱい抱きしめて…」



そこから言葉が途切れた。


でも…もうその後、松原君が彼女にしたことは痛いほど分かっていた。




「私…松原君のこと何も知らなかった…」



涙が溢れて止まらない。涙で松原君が見えない。



「どうして…この学校に?」




「彼女といた街にいたくなかった…思い出がありすぎて…辛いだけだ…調度、引越しの話があったら。…助かった」





そんな理由で、私たちは出会ったの?




「もう…恋…しないの?」



私は涙を拭きながら聞いた。