ピピッ ピピッ

体温計が静かな部屋に響き渡る。



37℃


「このぐらいだったら大丈夫かぁ…」


私は頭をボーっとさせながらベッドの上で独り言を言った。


身体がダルイが、私はベッドからおりた。



重いあしどりで階段をおりると、軽く朝ごはんを食べ、学校へと向かって行った。






午後4時…全ての授業が終わり、生徒がぞろぞろと教室を出ていく。



「香澄〜!大丈夫??顔赤いよ?保健室行く?」


彩夏が私の額に手をあてながら言った。


「そうだよ。私たちが付き添ってあげるから」


香奈が軽く私の手を引っ張った。



「大丈夫だよ。今日日直だし、日誌書かなくちゃいけないから…玄関で待ってて!」


私は無理に笑顔を作ると、無理矢理二人を玄関に行かせた。


自分の席につくと日誌を書いた。



頭がボーっとする…



ガラッ



いきなりドアが開いた。


「先生が日誌を職員室の机に置いとけって」


松原君が少し息を切らしながら言った。



「あ〜分かった」


私は日誌を書き終えると席を立った。


廊下に出ると玄関に向かう松原君の後ろ姿が見えた。



「う…ん〜なんか視界が歪む…貧血?」


私はフラフラしながら職員室へと向かう。


やっとのことで階段につくとフラフラしたあしどりで階段に足を踏み込んだ。



「あっ!松原君…」


松原君が階段をおりていた。


私は急いで松原君に追い付こうと早く階段をおりた。



「わっ!!」



不意に目眩がして、階段を踏み外してしまった。



私の悲鳴に気付いたのか、松原君が振り返った。



「えっ??蒼井?!」


松原君がびっくりしている顔が目に入った。



手摺りを掴もうとしたけど無理だった。



もう何も掴むものがなかった。


下までは数十段。落ちたら怪我どころじゃないかも…


私はそんなことを冷静に考えていた。