30分が過ぎたころ…
彩夏がソワソワしだしているのが分かった。


何ソワソワしてるんだ?


私はそう思いながら勉強を再開した。



すると、


「オレ…トイレ行ってくる」


森田君はそう言うと図書館を出ていった。


それを見ていた彩夏が、


「わ、私も〜」


席を立ちながら彩夏は私に目で合図をしながら図書館を出た。



私も渋々席を立った。



背後で香奈が慌てているのが分かった。



私はトイレに入っていく彩夏を引き止めた。



「彩夏…もしかして香奈と松原君をふたりっきりにしたの?」



そう言うと彩夏は呆れたように、


「当たり前でしょ、それが目的で香奈は図書館で勉強しようなんて言い出したんだから!」


そうだよね…


「ちょっとこっち来て」


彩夏はそう言うと私の手を引っ張った。



薄暗くなった渡り廊下に私を連れて来た。



「どうしたの?こんなところで?」



薄暗くて彩夏の顔は分からなかったけど緊張しているのが分かった。



「あのね…私…」


「どうしたの?」


少し間をおいて彩夏は話し出した。



「香奈が松原君を好きって言ったときから、香奈…毎日松原君ばっかり見てて…そのたびに、松原君見て!とか、私に言ってくるんだよね」



……まさか…彩夏も…松原君を?



「で、いつも見てると松原君の側には森田君が視界に入っていくるのね…」


森田君の話し?



「それで、いつの間にか松原君を見てって言われても森田君を見ちゃうの…」



それって……



「毎日見てると森田君の笑顔とか真剣な顔とか、優しい性格とか…そういうのに気付くとドキドキするの…」



「彩夏…それって」


「私、好きなのかも」



私はなんだか心がポッと暖かくなった。



「そっか…打ち明けてくれてありがとう!頑張って!応援するから」



「ありがとう…よかった…香澄に言って…香奈は自分の恋で精一杯だから香澄しかいなかったんだよね。