私が黙っていると彼は困ったように、


「黙られると…会話が無くなるんだけど…」


「ねぇ…」


「いきなり話し出すなよ…何?」


ねぇ…自分の気持ちに素直になるにはどうすればいいの?今思ってることを口にすればいいの…?


「……」


今言わなきゃ…始まらない…やっと自分の気持ちに素直になれそうなのに…


私が口を開きかけたとき、


「あのさ…こうやって蒼井と何回か話してて気になることが何個か、あるんだよね」


気になること?



「すぐ自分の世界に入って話が途切れること…オレ苦手…」


ゴメン…


「あとは…」


…あとは…?


「いや…一つだけだな…」


よしっ…


「私も!一つ気になることがあるんだよね…」


彼は私をずっと見ていた。


「松原君は、自分のことをあまり話さないこと!」


大丈夫…落ち着いて…


「私は…あんまりクールな人は苦手だから何話していいか分かんない…」


「ゴメン…」


なんで松原君が謝る?


「だから…だから。私は…もっと…松原君のこと……知りたいんです!」


い…言ってしまった!


「それって…」


もう恥ずかしい…


「ですから…別に気にしないで…今の話は…深い意味はないから…」



ドキドキ…する…


松原君は私の顔をみるとホッとした顔をした。


「よかった。話が途切れるから嫌われてるのかと思ってた…」


そんなこと思われてたんだ…


「嫌い…じゃない…」


私は…


彼はまた少しだけ笑った。


「じゃあ…」


私は窓を閉めかけた。


「うん。おやすみ」


また彼はクールな人に戻ると何事もなかったかのように窓を閉めた。


「調子狂うなぁ…」


私は窓を閉めた。


でも…なんだか近づけた気がした…



私は…


松原君が……好きなんだ…


そう思ったら、叫びたくなるような、走り回りたいような…


胸がドキドキした…