私が家についたときは、もう7時をまわっていた。


「お帰り。香澄〜お父さんがテレビ見てるうちにお風呂入りなさいよ〜」


お母さんが夕食を作りながら言った。


「うん…」


私は重い足取りでお風呂に入った。




「ハァー…今日は疲れた…」


私は顔ギリギリまで湯舟に顔を沈めながら考えた。


香奈は松原君のことが好き。香奈も最初は自分の気持ちを認めてはいなかった…

でも、ちゃんと自分の気持ちに素直になって、答えを出した…


私は?答えは出た?


「ハァー…のぼせたかも…」




夕食も済ませ自分の部屋に向かった。


今日はもう寝よう…

部屋の電気を消し、ベッドの横の電気をつけた。


私は何も考えずに窓を開けた。


「!松原君…」


松原君が窓を開けて本を読んでいた。


「もう寝るのか?」


「えっ?」


「電気消したから…」


あぁ…見てたんだ…


「うん…疲れて…松原君は環境とか変わったのに疲れたりしないの?」



「別に…疲れることないし…部活も入ってないし」



そう……


「……」
「……」


会話がまた途切れる…


私は話題を探すのにも疲れ、夜空を見上げた。


真っ暗な夜空には綺麗な星が静かに光っていた。


「綺麗…」


「えっ?」

松原君はそう言うと、私が見ている方向を見た。


「星か…綺麗だな…」


私は松原君をつい見て笑ってしまった。


「クスッ…綺麗だなって…」


「なんだよ。言ったら悪いのかよ…」


彼は少し驚いているように見えた。


「だって…そんなこと言う人だったんだ…」


なんだか意外だった。


「いつもクールなイメージだったし…自分の気持ちとか、あんまり言わないカンジ」



「イメージかよ…」


松原君は少し笑った。私は彼の時折見せる、少しの笑顔が好きだ。


……えっ…………

今…私なんて言った?


彼の笑顔が……


好き……


「どうした?」

松原君が不思議そうに言った。