「ふうん、速水って覗きとかするやつだったんだぁ。最低だな」


不快感を表す、というより、面白がるように各務は言った。


「人として最悪だな。人間のやることとは思えない。人間の屑だなぁ」

辛辣な言葉が、形の良い唇から紡ぎ出される。
最早これは暴力だ。言葉の暴力。

弾丸みたいに次々とあたしに撃ち込まれていく。

本人はいたって平然と、むしろ歌うように。

あたしはもう、瀕死の重傷だった。


だめ。限界です…


「う…盗み見ました……ゴメンナサイ…」




「キミ、ほんとに人間?」

……とどめだ


「くっ…見たこと誰にも言わないから何でもするから許して下さい!!」






「そう?」

にっこり

今日何度目か分からないこの笑顔を見て、
あたしは、自分が何を口走ったか悟った。