今まで、何かあった時の為にコツコツと貯めて来た貯金を少しだけおろし
無造作に、財布の中にお札を入れ込む。


茜は、この貯金の存在すら知らない。


『貯めといて良かった』なんて

こんな時に、俺のケチさが役に立った。笑


去年あげたピアスよりも…

健也さんのあげた指輪よりも…

良い物をあげたいって見栄を張ってみた。



某ブランド店のアクセサリーコーナーを見て回り

とある指輪の前を足が止まる…



「こちら、女性の方に人気になってますよ!プレゼントにも最適ですし!」


スーツを着て、ビシッとキメた上品そうな女の人が

俺の視線の先の指輪を指さし、勧めて来た。



『これの7号ってありますか?』


「はい。置いてます!」


『それじゃ、これ下さい。』




お金を払い、丁寧にラッピングされたソレを手に
店を後にする。


お金、足りるかな?とか、内心ヒヤヒヤしたけど
何とか、足りてくれて一安心。



やけど…次は、これを何処に隠すかで悩む…。



ポケットから携帯を取り出して、大和に電話をかける



『あ、大和?今から家行って平気?』


「大丈夫やで!待ってるわ〜」



結局、一番信用できる大和に頼む事にした



いくら何でも、家に持って帰れないし

そんな勇気もない。









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