『やっぱ、空が持ってた方が…その指輪も喜ぶと思うで。』


1年前の今頃に、空から預かった指輪。


あの時は、こんな風に返すなんて思ってなかったなー…



「お帰り…」


そう言って、再び空の右手に戻った指輪は

あの頃より、少し…くすんだ気もするけど

やっぱり空の指に似合ってる。



『悔し〜!!』


「え?何が?」


『やっぱ、健也さんには勝てないなって。』


「そんな事ないよ。光は光、健也は健也。」




待ってました!と言わんばかりに、指輪を触る空の顔は

俺には見せてくれた事のない顔。





前から思ってたけど

空は、今みたいに指輪を撫でてる時が…一番綺麗。

悔しいけど…ほんまに綺麗やと思う。



「てか…そろそろ時間やー…」


『うん…』


「もう行くわ。」



背を向け、ドアノブに手をかけた時…


『空!!』


腕を引っ張って、空を抱きしめた。


気付いたら…勝手に体が動いてて

空も、俺の腰に腕を回して来た。



「光の心臓…やばい位ドキドキしてんなぁ(笑)」


『うん。目の前に空がいるから』


「それなら、アタシもや!笑」って、言って

顔を上げた空の頬が、微かに赤くなってて…

恥ずかしさから目を逸らした。



「じゃあ…ほんまに行くわ!また後でね。」



バタン…




行くな!行くな!行くな!

頼むから、行かないでくれ…

俺から…離れないでくれよ…。



『そ…ら…』







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