「送ってくれて、ありがとうございます♪」
そう言って、お辞儀をする茜。
『通り道やから気にしない気にしない!』
「気をつけて帰って下さいね!それじゃあ…また。」
『ありがとう。また連絡するわ!』
"また" か…
《また会う約束》的な、この言葉が
ちょっとだけ切なかったりした。
歩き出して少ししてから振り返る…
まだ外にいる茜は、振り返った俺に気付くと
外見やオーラの上品さからは考えられない位
大きく両手を広げ、手を振ってきた。
『ふっ……』
微笑ましい光景に
思わず、笑みがこぼれる…
さすがに無視なんて出来ないから
手を振り返す。
首からブラ下がった指輪を触ると
夜風に当たり冷たくなっていて…
空との間に、目には見えない距離が出来てる様に思えた。
家に着くと、気持ち悪い位に笑顔のオカンと
普段、無愛想なのに…テレビを見ながら、声を出して笑ってるオトン。
そんなに嬉しい事なんだか?
うちの親って…単純やな
そんな中、腑に落ちないって顔をして椅子に座ってる海が見えて…目が合うと
ボソッと
「お兄にアホ。」って、一言だけ言い
リビングを出て行った。
『何やねん、アイツ。』
良く考えたら…海と…妹と
たいして年の変わらない子と
結婚するんだよなー…。
不思議な気持ち
.