窓の向こうには


春の趣から、夏へと変わろうとしている葉桜の大木が風に揺られて残りわずかなその花びらを舞わせる。





新学期も始まって4月も終わるこのごろ。




授業も落ち着いてきて、新しい友達とも手探りながら毎日楽しくすごしている。




一度呼び出されて以来、パッタリ音沙汰のなくなった川瀬優吾ファンからのいやがらせ。






あれは何らかの圧力だったのかなんなのか…




私と川瀬優吾が何でもないって分かってくれたのかな…。





それはそれで安心しちゃっていいかな。




昼休みもそろそろ終わりそうで、桜の木のある中庭を見渡すことのできる窓から身を起こした。



さてと、教室帰るか。



くるりと向きを変えて歩き出そうとしたまさにその時、

廊下の反対側から友達と話しながら楽しそうにこちらへと歩いてくる川瀬優吾の姿をとらえた。





女の子たちに呼び出された後の教室で会って以来の彼。



そういえば、あのとき私結局逃げ出すように帰って来ちゃったんだっけ…