「ごめん」
携帯の画面に映し出された
たった3つの文字
感情が揺さぶられることはもうないけれど、
残しておくこともないので、
私の指は真っ直ぐゴミ箱のアイコンへと伸びた。
「"小山剛"を削除しますか?」
アドレス帳から探し出した名前に、
少しだけ、
ほんの少しだけチクリと心が痛んだけれど
迷わず
"削除"を選択した。
「はあーーーー」
長いため息と共にベッドに倒れこむ。
時計はまだ夜の9時を指している。
寝るには早い、か。
テレビのリモコンに手をのばしかけたが
私の手は途中で力尽きた。
寝よう。
私はモゾモゾとそのまま布団に潜り込んだ。