顎に手をあてて考えるの、
癖なのかな?

先生のこと、
また一つ知った。


横顔も
やっぱりカッコいい。




「……その文はね、
主人公と周りの様子
――ここでは戦後の日本を
対比させてる。
復興に向かう
世の中の流れがあって、
希望に満ちてるんだけど、
一方主人公はただ一人で、
みたいな。
……」


先生の説明は、
すごくわかりやすかった。

細かいこと聞いて
悪いかもと思ったけど、
そんな気持ちを
忘れてしまうほど
真剣に答えてくれたんだ。




「よくわかりました!
……ついでにもう一つ、
いいですか?」


もっと、
優作先生を
独り占めしていたい。



「うん、いいよ。
真琴ちゃんは
鋭いからなー、
疑問をもつポイントが」

真面目な表情を崩して、
ふわっと笑顔になった。


先生の吐息が肌にかかり、
夢見心地になる。



ワンテンポ遅れて
誉められたと気づき、
ますます夢みたい。