「あ、うん、そうだっけ」

本当は気づいていた。



優作先生が、
満面の笑みで
先輩に駆け寄っていったから。




「ごめん」

「えっ?」


「余計なこと
言っちゃって……」


「そんな、
菜々子は何も……」

「先生たちの
80メートル走、
見に行こっ!」

慌てる私の言葉を遮り、
菜々子は明るく言った。

気を遣ってくれたんだろう。