翌日、明衣は立ち番の楡の袖の隙間から包帯が覗いたのを見て、眉を寄せた。


「ん、腕どうしたの?」

「……あ?これ?」


昨日部活に来ていなかったのだ。

それだけでも珍しいのに、それに加えて傷を作ってきたとなれば、誰もが怪しむだろう。


「ん、ちょっとね…野良猫に、引っ掛かれた」

「ダッサΣΣ!!何してんの!!」


明衣は盛大に吹き出しながら言う。


楡自身も「本当だな」と呟くように言った。


──まさか、地雷を踏むなんて


「今日は来るの?」

「何が?」


明衣の問いに楡は首を傾げる。

やはり糸の外れた人形のようだ。


「部活。昨日来なかったじゃん」

「あー……うん、行く」


明衣が語調を荒げると、楡は歯切れの悪い言い方をし、たどたどしく頷いた。


───なんか、




なんか、変だ。


明衣は更に眉を寄せた。