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翌日。


衣裳であるお揃いのTシャツを着て、明衣、五月女、本郷、楡は控え室で最後の確認をしていた。


「サビの前のベースは、ドラムもギターも鳴り止むからね。間違えたら丸分かり」

「プレッシャーかけないでくださいよ」


本郷の言葉に苦笑して返す五月女。

その表情は、どこか浮かない。


「…桃子、まだ来てないの?」

「…………そう、みたいです……」


本郷が心配そうに口を開いた。

五月女が同様に、顔を曇らせながら答え、俯く。

ただ一人、明衣は不機嫌そうに眉を寄せたままだ。


「あれ位でビビって来れないなら、所詮その程度の気持ちだったってことでしょ。あたし達が気にする必要もないわ」

「明衣ちゃん……!」


尖ったままの明衣に、珍しく本郷が口調を荒げる。


「桃子がどれだけ勇気を持って私達に依頼してきたか、判らないわけじゃないわよね?」

「だから何?依頼内容は何だったっけ?先輩」


冷ややかな明衣の眼差しに、本郷はムッとなる。