明衣が何も言わずに考えていると、麻衣は構わずに喋り始めた。
「まぁ、姉としてはアンタがそうやって成長してくれたことが嬉しいんだけどね。
やっと一生懸命になれることが見つかったってことじゃん」
「何偉そうに」
「良いじゃん、少しくらいは染々させてよ」
「知るか」
明衣は刺のある言い方はしたものの、実は嬉しかったりした。
姉が自分を見てくれていた。
頑張りを認めてくれた。
それだけで、何だか嬉しかった。
「あのさ」
「何?」
明衣は麻衣に話し掛けていた。
「優勝、するからさ」
「うん」
「見に、来てよね」
「うん」
明衣はそれだけ言うと、ベッドに潜り込んだ。